作品解説とコラム– category –
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【はじめに】 現代に生きる『カラマーゾフな人々』 ~血と金と救済
現代においてカラマーゾフの兄弟を読み直す意義について、江川訳の立場からコメント。バーチャル僧侶が死者の為に読経し、教会のミサもオンラインでシェアされる時代、アリョーシャの言葉は誰の心に響くのか。 -
ドストエフスキーの生涯と執筆の背景 ガリマール新評伝より ~葛藤する限り、人は神と共にある
難解・冗長で知られるドストエフスキーはどんな時代に生まれ、何に影響を受けて作家活動を開始したのか、ロシア史、文学史から読み解く詳伝より見どころを紹介。賭博、借金、投獄、女、波瀾万丈の人生の中でもロシアの行くべき道を模索し、人類の処方箋を探し求めたドストエフスキーの深い知性と義侠心がひしひしと伝わってくる良書。 -
『カラマーゾフの兄弟』執筆の背景 ~ドストエフスキー評伝より
ドストエフスキーは病み、疲労し、発想力を失っていた。しかしそれだけではなく、今やドストエフスキーにとってこの小説は「小説の中でも最も重要な小説の一つ」だった。この作品は「入念に仕上げなければならない」。さもなければ、「作家としての自分自身を未来永劫にわたって傷つけることになる」とドストエフスキーは書いている。 -
イワンとアリョーシャの兄弟愛 江川卓の『謎とき カラマーゾフの兄弟』より ~桜んぼのジャムのエピソード
イワンとアリョーシャが大審問官について語り合う場面に登場する『桜んぼのジャム』を実際にロシアで食して感激した江川先生のエピソードを紹介。天国への入場券をつつしんでお返しするというイワンの心情と、カラマーゾフの血を受け継ぐアリョーシャの皇帝暗殺に関するコラムです。 -
⑨ いかにして我は無神論者となりしか ~不条理な現実とイワンの義憤 《原卓也のカラマーゾフ随想》
イワンの出立を前にアリョーシャは居酒屋で兄弟の会話を楽しむ。イワンの人生観、神への問いかけなど、本作の心髄が凝縮された名場面。『神も悪魔も存在しない ~イワンの無神論』『人生のどんな嫌悪にも、俺の若さが打ち克つ』『神は人間が考えだしたもの』『子供の犠牲の上に天国が築けるが』『天国への切符を慎んでお返しする』『神とは、赦す存在』『人間を愛するか、世界を愛するか』『大審問官に続く重要な問いかけ』
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