-
キリスト教を学ぼう 初心者向けの本 ~『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』を理解する為に
初心者におすすめのキリスト教の本を紹介。いきなり聖書を読むより、美術本、図解ムック、ドキュメンタリー、伝記映画などから入ると分かりやすいです。キリスト教を知れば、絵画や映画を鑑賞する楽しみもぐっと拡がりますので、興味のある方はぜひトライして下さい。 -
【38】ゾシマ長老の伝記とドストエフスキーの遺言 ~ヨブ記のエピソードより
死に瀕して、ゾシマ長老は神父やアリョーシャに自身の半生を語り、最後の訓諭を与える。ゾシマ長老の感銘は、脱稿に急逝したドストエフスキーの遺言のようでもあり、宗教的体験が垣間見えるようなパートに仕上がっている。 -
【34】 大審問官 悪魔の現実論を論破せよ ~アリョーシャの接吻の意味
マタイ福音書「悪魔の三つの誘惑」を元に、大審問官がイエスに現実の矛盾を問い質す名場面。『イエスの接吻が意味すること』『イワンこそ現代人の葛藤』『心が死ねば肉体も死ぬ』『人間とは弱く卑しいもの』『大審問官の意味を探しても答えはない』等。江川卓『謎解きカラマーゾフの兄弟』の解説を交えて紹介。 -
【33】 神さまに天国への入場券をお返しする ~子供たちの涙の上に幸福を築けるか?
イワンは子供たちへの虐待を引き合いに出し、無垢な涙の上に幸福の建物を築けるかと問いかける。神は認めても、神の創った世界は認めない。だから天国への入場券をつつしんで神さまにお返しする、というイワンの心情が綴られた名場面。 -
【32-2】 僕は神を認めないんじゃない、神の創った世界が認められないんだ
アリョーシャと「神はあるのか、ないのか」と論議を交わすイワン。「ぼくは神を認める。だが神の創った世界は認められない」と断言する。一方、神に救われたがっているイワンの心情が垣間見える名場面の序章。 -
【23】 だれにも愛されない人の為に祈りなさい ~ゾシマ長老の遺言とパイーシイ神父の訓諭
アリョーシャの心の支えであるゾシマ長老は互いに愛し合うよう遺言を伝える。一方、長老に批判的なフェラポント神父は無知な修道僧を相手に不思議を説き、人心を惑わせる。老齢のパイーシイ神父はこれから俗界に出るアリョーシャに、似非キリストに気をつけるよう教え諭す。 -
【14】 現代は自由主義のご時世、汽船と鉄道の時代ですぜ! ~時代の変わり目と行き場のない人々
淫蕩父フョードルは家族の会合で醜態をさらし、一旦、帰路につくが、「行きつくところまで行ってやれ」と道化に徹することを決め、僧院長の食事会に乗りこむ。他の出席者を愚弄し、僧院の偽善を嘲ると、「アレクセイは父親の権利で永久に引き取る」と言い放ち、僧院と決裂する。コラム『場ちがいな会合と行き場のない人々』 -
【11】 神がなければすべてが許される? イワンの苦悩とゾシマ長老の励まし
イワンは「不死がなければ、善行もない。不道徳もなくなり、すべてが許される」という持論を展開するが、ゾシマ長老は彼の懊悩を見抜き、「いつかあなたの苦しみに解決が訪れ、その行路が祝福されるように」と励ます。神がなければすべてが許される、とはどういう意味なのか、屈指の名場面を解説。 -
【10】 キリスト教徒の社会主義者は無神論者の社会主義者より恐ろしい ~イワンと神父の議論
国家が犯罪者に刑罰を科しても魂が救われるわけではない。国家の中に教会があるのではなく、国家が教会そのものになるべきという熱い議論が交わされる。果たしてキリスト教が国家に成り代わる事が正解なのか。一つのイデオロギーが社会全体を治めようとする危うさについても言及する、ロシアの未来を示唆するような場面。 -
【9】 人類一般を愛すれば、個々への愛は薄くなる ~「空想の愛」と「行動の愛」の違い
裕福なホフラコワ夫人は自身の信仰が一生報われないのではないかと不安を訴える。ゾシマ長老は漠然と人類愛に憧れる「空想の愛」を戒め、愛の実践には痛みと忍耐が伴うと諭す。アリョーシャの還俗に繋がる、『行動の愛』に対する理念が語られる重要なパート。