ドミートリイ・カラマーゾフ(ミーチャ)– キャラクター紹介 –

カラマーゾフ家の長男で、短気な激情家。最初の妻アデライーダの間に生まれるが、三歳の時に、アデライーダは貧乏な教師と駆落ちし、父フョードルにも育児放棄されて、母方の親族をたらい回しにされる。軍関係の学校に進学し、軍人になるが、フョードルの財産をあてにして放蕩し、無一文となる。
中佐(大隊長)の公金使い込みを救済した事がきっかけで令嬢カチェリーナと婚約するが、商人の情婦グルーシェンカに一目惚れし、カチェリーナから預かった3000ルーブリを遊びで使い込む。守銭奴の父を憎悪し、グルーシェンカの愛を争う。
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【24】イワンなんか糞くらえ、ミーチャはごきぶりみたいに踏みつぶす ~老親の妄執と息子への憎悪
アリョーシャが父の家に立ち寄ると、フョードルは快く歓迎するが、ドミートリイとイワンに対しては「ビタ一文もやりはせん」と嫌悪感を露わにする。アリョーシャはそんな父を抱擁し、フョードルも驚いたようにアリョーシャを食事に誘う。そしてそれが最後の別れになってしまう、印象的な場面。 -
【12】どうしてこんな人間が生きているんだ! ~ゾシマ長老はなぜ大地に頭を下げたのか
長男ドミートリイは父フョードルと和解する為、ゾシマ長老の会合に出席するが、神父の前でもフョードルはカチェリーナやグルーシェンカをを侮辱し、ドミートリイは「どうしてこんな人間が生きているんだ」と怒りを露わにする。一家の不幸を予感したゾシマ長老は、ドミートリイの足元に叩頭し「お赦しくだされ」と訴える、本作屈指の名場面。 -
【22-1】カチェリーナの自己愛とドミートリイの訣別 ~女の意地は悪魔より強い
カチェリーナはグルーシェンカの手の甲にキスしたが、グルーシェンカはキスを返さなかった事を、アリョーシャから伝え聞いたドミートリイは大笑いし、彼女は自分の夢想に惚れこんでいるのだと断言する。カチェリーナという女性の本質とドミートリイの決意が描かれる重要な場面。 -
【17】ドミートリイの告白 ~3000ルーブリをめぐるカチェリーナの愛憎とフョードルの金銭問題
フョードル殺しの発端となる3000ルーブリの使い込みと、カチェリーナ&グルーシェンカをめぐる色恋について箇条書きで解説。この経緯が理解できないと物語全体を見失うので頑張りましょう。随所に差し込まれるギリシャ詩などの意味を江川卓の注釈を元に解説。 -
【2】 愛の欠乏と金銭への執着 ~父に捨てられた長男ドミートリイの屈折
父親に厄介払いされた長男ドミートリイは親戚宅をたらい回しにされ、短気で享楽的な人間に育つ。父親が裕福な地主と知ると、自分も金持ちと勘違いして散財し、無一文になるが、狡猾なフョードルは長男にビタ一文渡さない。金銭をめぐる憎悪の発端が描かれる。 -
子は永久に『子』~父親という人生の負債(5-2)
父親を殺したいほど憎んだとしても、親は親、子は親には永久に逆らえない。たとえ相手が強欲な淫蕩父でも、育児放棄するような親でも、子は生まれながらに十字架を背負わされたように、親を慕って生きていく。心底から否定などできるわけがない。それゆえに苦しむのである。
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