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【7】 自分にも他人にも嘘をつけば真実が分からなくなる 老いたる道化 フョードルとゾシマ長老の会話
僧院でもふざけた態度を取り続けるフョードルに、ゾシマ長老は「自分自身に嘘をつけば、自分のうちにも周囲にも真実が見分けられなくなり、自分にも他人にも尊敬を抱けなくなる」と諭す。長老の洞察力とフョードルの真の姿が垣間見える場面。 -
【4】 幸福に必要な鈍感力・アリョーシャ ~鋭敏な知性はむしろ人間を不幸にする
次男イワンが他人の施しを自分の恥と感じ、気むずかしい青年になったのに対し、アリョーシャはそれを苦とも屈辱とも思わず、誰からも愛される明朗なキャラに育ちます。父フョードルにも気に入られたアリョーシャの魅力と幸せに必要な「鈍感力」について解説。 -
【3】 自己卑下と高い知性が結びつく ~人間界の代表 イワン
次男イワンと三男アリョーシャは将軍夫人の家に引き取られるが、居候の引け目と淫蕩父を恥じる気持ちからイワンは気むずかしい青年に育つ。天と地の両面を併せ持つイワンの悲しい生い立ちと、父フョードルの意外な情愛が描かれる。 -
【2】 愛の欠乏と金銭への執着 ~父に捨てられた長男ドミートリイの屈折
父親に厄介払いされた長男ドミートリイは親戚宅をたらい回しにされ、短気で享楽的な人間に育つ。父親が裕福な地主と知ると、自分も金持ちと勘違いして散財し、無一文になるが、狡猾なフョードルは長男にビタ一文渡さない。金銭をめぐる憎悪の発端が描かれる。 -
【序文】「カラマーゾフの兄弟」の全てが凝縮した『作者より』と二部構成の謎
『カラマーゾフの兄弟』は二部構成であったことが序文で語られます。ドストエフスキーの死によって書かれることのなかった第二の小説(幻の続編)について考察。