カラマーゾフの兄弟– category –
-
【23】 だれにも愛されない人の為に祈りなさい ~ゾシマ長老の遺言とパイーシイ神父の訓諭
アリョーシャの心の支えであるゾシマ長老は互いに愛し合うよう遺言を伝える。一方、長老に批判的なフェラポント神父は無知な修道僧を相手に不思議を説き、人心を惑わせる。老齢のパイーシイ神父はこれから俗界に出るアリョーシャに、似非キリストに気をつけるよう教え諭す。 -
【16】 いやな臭いのリザヴェータと聖痴愚(ユロージヴァヤ)
シュメルジィ(臭い)の名で呼ばれる白痴女リザヴェータが妊娠すると、「父親はフョードル」と噂が立つ。フョードルは否定するが、産み月になると、リザヴェータはカラマーゾフ家にやって来て、男の子を生みおとす。フョードルの徒となるリザヴェータとスメルジャコフの数奇な生い立ちを江川卓の解説を交えて紹介。 -
【13-2】 ラキーチンは裏切り者のユダ? 嫉妬と野心が結びつく時
ラキーチンの野心とカラマーゾフ一族に対する屈折した感情が見え隠れするスリリングな場面。アリョーシャの秘めた好色と生きる意欲の源泉に関する江川卓の解説を交えながら、幻の後編に描かれたかもしれない皇帝暗殺計画について解説。 -
【14】 現代は自由主義のご時世、汽船と鉄道の時代ですぜ! ~時代の変わり目と行き場のない人々
淫蕩父フョードルは家族の会合で醜態をさらし、一旦、帰路につくが、「行きつくところまで行ってやれ」と道化に徹することを決め、僧院長の食事会に乗りこむ。他の出席者を愚弄し、僧院の偽善を嘲ると、「アレクセイは父親の権利で永久に引き取る」と言い放ち、僧院と決裂する。コラム『場ちがいな会合と行き場のない人々』 -
【11】 神がなければすべてが許される? イワンの苦悩とゾシマ長老の励まし
イワンは「不死がなければ、善行もない。不道徳もなくなり、すべてが許される」という持論を展開するが、ゾシマ長老は彼の懊悩を見抜き、「いつかあなたの苦しみに解決が訪れ、その行路が祝福されるように」と励ます。神がなければすべてが許される、とはどういう意味なのか、屈指の名場面を解説。 -
【12】どうしてこんな人間が生きているんだ! ~ゾシマ長老はなぜ大地に頭を下げたのか
長男ドミートリイは父フョードルと和解する為、ゾシマ長老の会合に出席するが、神父の前でもフョードルはカチェリーナやグルーシェンカをを侮辱し、ドミートリイは「どうしてこんな人間が生きているんだ」と怒りを露わにする。一家の不幸を予感したゾシマ長老は、ドミートリイの足元に叩頭し「お赦しくだされ」と訴える、本作屈指の名場面。 -
【10】 キリスト教徒の社会主義者は無神論者の社会主義者より恐ろしい ~イワンと神父の議論
国家が犯罪者に刑罰を科しても魂が救われるわけではない。国家の中に教会があるのではなく、国家が教会そのものになるべきという熱い議論が交わされる。果たしてキリスト教が国家に成り代わる事が正解なのか。一つのイデオロギーが社会全体を治めようとする危うさについても言及する、ロシアの未来を示唆するような場面。 -
【9】 人類一般を愛すれば、個々への愛は薄くなる ~「空想の愛」と「行動の愛」の違い
裕福なホフラコワ夫人は自身の信仰が一生報われないのではないかと不安を訴える。ゾシマ長老は漠然と人類愛に憧れる「空想の愛」を戒め、愛の実践には痛みと忍耐が伴うと諭す。アリョーシャの還俗に繋がる、『行動の愛』に対する理念が語られる重要なパート。 -
【8】 ゾシマ長老とロシアの農婦 ~神は罪を犯した者を、罪のままに愛してくださる
高徳の僧ゾシマ長老に救いを求めて、貧しい農婦が次々に訪れる。彼女らはゾシマ長老の優しい言葉に癒やされ泣いて感謝する。当時の農村(特に女性)の不幸な境遇や貧しさが窺える印象的なパート。ロシアの農奴制と改革への動きと併せて。 -
あらすじとキャラクター紹介 【カラマーゾフの兄弟】
『カラマーゾフの兄弟』のあらすじとキャラクターを紹介。出来事を時系列で分かりやすく解説。